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【登山レポ・1】北岳 前日と1日目 [登山]

わたしのブログは、基本ラングログですが、ランより断然登山歴の方が長いこともあり、「今度、山へ連れて行って♪」って言われることが増えました。でも、登山はランより初期投資にお金がかかるし、何よりも、基本的には途中リタイアができず、最悪の事態になれば命にかかわる遊び。躊躇もあったのですが、「ぜひ皆さんに山の素晴らしさを堪能してほしい!」という気持ちが勝り、登山を主催するという運びになりました。

登る山を選ぶにあたっては、「行きたい」と強くおっしゃってくださったproceedさんが甲府に赴任されていますので、甲府発着がいいなと。そして、案内するからには、山の魅力が数多く詰まっていて、わたし自身が行き慣れていて、不測の事態にも対応できるコースで。そんなわけで、いくつかの選択肢の中から、今回は北岳を選びました。

北岳。標高3,193m。富士山に次ぐ、日本第二の高峰です。
登山口からの標高差はありますが、コースを選べば危険個所は少ないですし、何より山頂からの景色が素晴らしく、高山植物も多いことで知られる人気の山です。獲得標高が大きいことだけがネックでしたが、参加者は皆ランナー、体力・脚力に関しては問題ないでしょう。
ちなみに、わたし自身は、北岳起点の縦走も含めて7回目の北岳登山になります。

MAP.jpg

※レポートの写真は、自分で撮ったものや、皆さんに撮っていただいたものを混ぜて使用しています。

8/6(金)

翌日の出発を甲府駅7:00発のバスにしましたので、金曜日は半休を取得し、甲府に前泊しました。翌日のバスを1本遅らせて9:00発にすれば、首都圏他からの当日入りが可能なのですが、それだと山小屋到着が午後4:00過ぎになります。山は早発ち早入りが原則ですし、もし途中で何かあったときに、このスケジュールでは対応ができません。また、夏山は、午後になると雷雨に見舞われることがあり、今回のコースの稜線は、雷雨が来たら一発でアウト、逃げ場なし。苦渋の決断でしたが、7:00のバスを選択しました。これのせいで参加を見合わせざるを得なかったかたもいらしたと思います。申し訳ありませんでした。

19:00、参加してくださったすーぴーさん、mizoreさんと甲府駅で待ち合わせ。仕事を超特急で切り上げてくださったproceedさんも合流し、皆でほうとうや馬刺しで前祝い。

ほうとう.jpg

夕方の甲府駅では、信玄公の銅像の後ろで、空が真っ赤に燃えていました。夕焼けが美しいということは、翌日の天気は晴れる確率が高いです。(※赤黒く不気味に焼けている場合は雨の確率が高いのですが。) 天気予報でも、土曜日はよさそう、日曜日は午後から崩れるとのこと。日曜日の午後には下山しているばすなので、「これは幸先がいいぞ」と思いましたが、地元勤務のproceedさんが、「昨日は高い山には黒い雲がかかって雷がピカピカしていた」と言っておられましたので、突然の雷雨だけが心配でした。山の天候は本当に変わりやすいので。

信玄公と夕焼け.jpg

21:00頃に宿に戻り、シャワーを浴びて就寝。おやすみなさい。


8/7(土)

5:00起床。バスの出発は7:00ですが、このバスには2時間も乗るので、座れないと地獄です。夏山シーズンなので、1時間前くらいから人が並び始めると聞き、6:00には駅前のバス停に行きました。……が、早起きのproceedさんが、さらにはやく到着。行列の最前列を確保して待っていてくださいました。proceedさん、ありがとうございます☆ 都心からのアプローチだと間に合わない時刻のバスだったこともあり、おかげさまで全員無事に、席を確保できました。

山梨交通の路線バス、味わいのある車掌さんに味わいのある切符、とてもレトロな雰囲気です。ちなみに、バス料金は、南アルプス林道協力金100円を含め片道2050円。竜王駅、芦安(マイカーはここまで)、鳳凰三山の登山口である夜叉神峠を経て、定刻通りの9:00少し前、バスは広河原に到着しました。


ここから広河原山荘までは、吊橋を渡って徒歩5分程度です。対岸には、これから登る北岳が聳え立っています。周囲の山とはあきらかに違う高峰の雰囲気に、皆さん写真をパシャパシャと撮っています。今日は、あのテッペン近くまで行くのですよ~。

広河原山荘(1,520m)で、登山時には使わない荷物(前泊のときの服や下山後のお風呂セットなど)を預かってもらい(宿泊者は無料、それ以外は1個300円)、登山届を提出し、トイレや水汲みを済ませます。すーぴーさんが持ってきてくださったマドレーヌをお腹に入れて、9:20、いざ出発です。

登山届けを書く.jpg

出発.jpg

最初は、樹林帯の中を進みます。傾斜はまだゆるく、木陰で気持ちがいい登山道です。約20分(標準コースタイムでは25分)で、白根御池小屋経由のルートと、大樺沢ルートとの分岐点。看板があり、休憩ポイントにもなっています。わたしたちは、今回の往路は大樺沢コースを選びました。前日までの天気がよかったので沢の増水の心配がない以上、夏の登りは沢沿いのルートのほうが気持ちいいです。白根御池小屋ルートは、日当たり良好の(要するに暑い)、草すべりの急登が地獄ですし。

大樺沢にかかる橋を左岸に渡ったあたりから、傾斜がきつくなってきます。でも、皆さんさすがはランナーで、コースタイムより速いペースでも、まったく問題なし。「コンニチハー!」と、元気に山の挨拶を交わしながら、前を行く登山者たちをパスさせてもらって進みます。

登山開始から40分ほどで、1回目の休憩。このあたりから、斜度もあがってきましたが、沢の音が気持ちよく、花も増えてきて、気持ちのいいトレイルです。
次の休憩は大樺沢二俣かなと思いましたが、mizoreさんが靴の中で足がずれるとのことで、靴下の履き直しを兼ねて、涸れ沢(シーズンによってはまだ水がある)を再び右岸に渡り直す、最後の橋から少し進んだあたりで2回目の休憩をとりました。

ここで、時間もあったので、スモモの振るまい。登山のときのフルーツは最高の贅沢です。平地だと桃のほうが美味しいと思うのですが、登山のときはなぜかスモモの酸っぱさに惹かれるんですよね~。皆さんにも好評でよかったです。

小休止後、横目に雪渓を見つつ、大樺沢の右岸をじりじりと登っていきます。

可愛い花が咲いていたので、高山植物の写真を撮るコッコ。
花の写真を撮る.jpg

これはハクサンフウロ。本当にたくさん咲いていました。
ハクサンフウロ.jpg

このあたりから、頭上の木々がまばらになり、展望が開けてきます。大樺沢二俣(2,250m)到着は、11時10分。コースタイム2時間30分のところを1時間50分で来ているので、順調そのものです。
ここで、各自買ってきたおにぎりを頬張ります。デザートは2個めのスモモ。


ここでは少し長めに休憩し、右俣の急登に取りつきます。
大樺沢二俣は、登山道の分岐点となっており、わたしたちが登った右俣ルートのほか、白根御池小屋へ至るルートと、雪渓を抜けて行く左俣ルートもここで分かれます。左俣ルートは、北岳バットレスの眺めは最高なのですが、頂上直下の八本歯コルあたりが痩せ尾根で、梯子や鎖などもあり、ちょっと神経を使うので、今回はパスしました。急な登りではありますが、ときおり木陰もあれば、高山植物も多くて目を楽しませてくれる、右俣ルートが初心者向けでおススメです。

横に鳳凰三山、眼下に大樺沢の雪渓を見ながら、高山植物が咲く斜面をジグザグと縫い、高度をあげていきます。

横に雪渓.jpg

頭上にあった地蔵岳のオベリスクがだんだん横になり、マルバタケブキの群生がキレイなあたりの木陰でいったん休憩。登りにはちょっとしたお楽しみがあると嬉しいので、ここでフルーツトマトの振るまい。ミニトマトや中玉トマトも、酸味のおかげか山だとことさら美味しく感じます。

マルバタケブキで休憩.jpg

この時点で、標高は2,700mを超えました。「さあ、次の休憩はもう稜線上で取りますよー!」。トマトで気分をリフレッシュしてもらって、最後のひとふんばり。登りなので汗がポタポタと滴り落ちてきますが、ときおり雪渓から吹き上げてくる風は冷たく、視界もだんだんと開け、これから登る尾根も見えてくるので、俄然テンションがあがります。


1時、小太郎尾根分岐(2,840m)。

稜線に出るよ.jpg

ここからの景色もなかなかです。右手に鳳凰三山。いつの間にかオベリスクは眼下になっています。そして、前方に甲斐駒ケ岳。堂々とした山容で、見栄えのする名峰です。

甲斐駒470.jpg

さらにその横に、南アルプスの女王・仙丈ケ岳。山々もキレイでしたが、そのさらに上、鳳凰三山の上の空にはうろこ雲が広がっており、その雲が一条、すうっと切れて、天上に向かうトレイルのようになっていました。想像力をかきたてられる、ステキな景色でした。

雲のトレイル470.jpg

ここで長めの休憩&写真撮影タイム。おにぎりの2つ目や、パンなどを思い思いに頬張って栄養補給をし、岩場の登りに備えます。

稜線に出て甲斐駒と.jpg

雲上散歩.jpg

ここからは、楽しい稜線散歩となりますが、少し進むと、はじめての岩場が出てきます。落ちても死ぬような場所ではないですが、それなりに高度感はありますので、三点支持という岩場の登り方の基本をレクチャーさせていただきました。岩場や梯子を登るときには、両手両足のうち、1つだけを動かし、残る3つは身体を支える支点として確保するというものです。
ここでproceedさんが、「4つではダメなの?」とおっしゃるので笑ってしまいました。「4つだと動けないじゃん! 頭で支える気?」とmizoreさんが突っ込んで、皆で大爆笑。岩登りに向かう緊張感がほぐれたように思います。

岩場を行くよ.jpg

岩場では、皆さんしっかり集中。ルートはわたしが選択します。手をかける岩、足を置く岩。浮き石など動く岩がないかどうか、チェックしながら進みます。不幸中の幸いで、コッコさんはチビなので、わたしが行ければ皆さんいけます。これが前が男性だと、コッコさん、同じ支点だとときどき手が届かないことがあるんですよね…。チビって悲しい…。

無事に岩場をこなし、周囲の景色を楽しみながら、雲上散歩を続けます。稜線に出てから、これまでの高山植物とは違う種類の花たちもお目見えしてくれて、とても楽しく歩いていたのですが、ここでビッグサプライズが。

「このお天気(好天)では、見られないだろうな。」と思っていた、ライチョウです。鳥好きのすーぴーさんが引き寄せたとしか思えません。メス1羽と、雛が3羽。人を怖がることもせず、雛がチョロチョロしているのを、母親が空からの天敵を警戒しながら見守っていました。(ライチョウは、ハイマツを住処にしており、天敵の鷹などから見つかりにくい曇りや霧などの天気が悪いときに出没します。その習性のせいで、雷鳥という名前の由来も、「見かけたら雷が来る」からそうなったという説も。)

雷鳥B470.jpg

雷鳥A470.jpg

雷鳥C470.jpg


めいっぱいライチョウとの邂逅を楽しんで、さらに進むと、今夜宿泊する北岳肩ノ小屋が見えてきました。標高3,000mにある山小屋です。
小屋の前はキャンプ指定地となっており、色とりどりのテントが設営されていました。

小屋が見えてきた.jpg

肩の小屋.jpg

肩ノ小屋到着、午後1時50分。ライチョウでだいぶ時間を食いましたが、それでも予定通りです。標準コースタイムで5時間30分(休憩除く)のコースを、休憩込みで4時間30分。ランナーって素晴らしい~♪
宿泊の申し込みをし、指定された寝場所にザックを置いて、女性陣はまず着替え。まだ二階には人が入っていなかったので、そこをいったん女性貸切にさせてもらって、汗になった衣類を交換します。

そのあと、小屋から往復30分の水場へお散歩。急斜面ですが、ここも高山植物が多くて楽しい斜面です。
水場は切り立った崖の下、もともと水量はあまりない水場なのですが、わたしたちが行ったときには本当にチョロチョロで、少し汲むのにもとても時間がかかりました。

でも景色は最高です! proceedさんは怖くて下を覗き込む気がしなかったそうですが。うってかわって女性陣は豪胆です。岩場にチョコンと座って景色を堪能。「見てるほうがドキドキした」ってproceedさんはおっしゃっていましたが、滑らない岩ですし、万が一転げ落ちても水場を支える岩盤で止まるので大丈夫。

水場だよ.jpg

水を組んで戻り、お待ちかねのビールです。ぬおーーー、美味しい!!! 1杯800円とたいへん高価ですが、標高3,000mの山の中で冷たい生ビールが楽しめる幸せには替えられません。
ザックに仕込んできた、おつまみやら何やらを出し、ここで小料理屋コッコ・登山バージョン。本日のメニューは、山の焼きそばです。インスタントですけど、山だと美味しいんですよね。今回参加の皆さまには、コッコさん愛用の山用のカラトリーを参加賞としてお渡しいたししました。便利なグッズなので、よかったら次の山行でも使ってください。

ビールうまい.jpg

カラトリー.jpg

焼きそば.jpg


夕食は17:00から。
肩ノ小屋の夕食は生姜焼きのことが多い印象でしたが、今回は白身魚の素揚げに大根おろしのソースがかかったものでした。ご飯・みそ汁はおかわり自由。男の人はたくさんおかわりされていて、あちこちからおかわりの声がかかります。ちなみに、この小屋では、「大盛り」は「大盛り」と言わず、「北岳盛り」と言います(笑)。小屋のスタッフもしっかり心得ていて、盛り付けの形もなんとなく北岳の山容にあわせ、先をとがらせて盛ってくれます。


夕食の後、テラスに戻り、proceedさんが持ってきてくださった日本酒を堪能していると、谷に向かってブロッケン現象が出始めました。ええーーー、マジですかーーーー。ライチョウに続いて、ブロッケン現象まできましたか!!

ブロッケン現象.jpg

ブロッケン現象とは、太陽光が背後からさし、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、見る人の影の周りに、虹状の光輪となって現れる大気光学現象のことで、とても幻想的で不思議なものです。いつも必ず見られるとは限らず、わたしはたくさん登山していますが、遭遇確率は1/20くらいです。みんなでワーワーと、光輪の中の自分に向かってポーズをとって遊びます。

ブロッケン現象を楽しむ.jpg

このあたりから、風も出てきて、気温がぐんぐん下がってきました。
寒くなってきましたので、皆さんに温かいコーヒーを振るまおうと思いましたら……なんと、コッコさん痛恨のミス。バーナーのガス切れです。あー、ごめんなさい…。小屋で買えることもあるのですが、肩ノ小屋ではガスは販売していませんでした。予備を持ってくればよかったです。

夕暮れの鳳凰三山470.jpg

山小屋宿泊のお楽しみは、山の夕焼けが見られることですが……この日の夕焼けは、60点くらい。西の空に雲が多すぎました。

夕焼け470.jpg

日が沈んだので、部屋に戻ります。
夏山シーズン真っ盛りなので小屋はぎゅう詰めですが、それでもひとり1つずつ、寝袋を貸与してもらえました。ふとんじゃなくて寝袋(シュラフ)なのはありがたいです。軽いし温かいし。
寝袋で身体があたたまったと思ったら、消灯(20:00)も待たず、19:00過ぎにはあっという間に夢の中…。


21:30過ぎ、いったん起きて、外へ出てみました。お手洗いついでに、星が出ているか見に行ったのですが、外に出た直後はきれいな星空で、天の川、流れ星と山の夜空を堪能できたのですが、雲の流れがはやく、あっという間に星は雲の中へ。このあたりはタイミング次第だったようです。皆さんは、夜中の1:00頃にも出られたそうで(コッコさんは爆睡中)、そのときはとてもきれいに見えたそうです。星の数が多すぎて、星座の特定が難しいくらいの山の星空を見てもらえて本当によかったです。


翌日に続きます。
明日はいよいよ登頂! そして嬉しい出会いが……☆


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ぶんこ♪

コッコさん♪

すばらしいレポート、
本当にありがとうございます!!!

近頃のわたくし、
あまりいいことじゃないこと続きなんですが(笑)、

読んでいて、気分バレバレ~…
夢中になって拝見しました。

コッコさんの見識、
豊かなご経験、本当にすばらしい…!!!

続きを楽しみにしています。

コッコさん、
すばらしいね!!!
by ぶんこ♪ (2015-08-11 22:38) 

mizore

集合時間には一番遅く現れるわ、靴下はすべるわ、ぼけた発言繰り返すわで、ほんとうにコッコさんの暖かいまなざしに改めて感謝です…。

最後の写真、再度感動、思い出します
by mizore (2015-08-12 07:41) 

コッコ

>ぶんこさん
ありがとうございますー。なんだか、いろいろとたいへんそうですね。ランで気分転換なさってくださいね。
山も気分転換には最高ですよ。自然の雄大さ、美しさ、そして水や火のありがたさ。心洗われます。
頑張って続き書きますね。たぶん長文ですが、ぜひ読んでください。
by コッコ (2015-08-12 15:01) 

コッコ

>mizoreさん
だって、mizoreさんがすごーく楽しみにしてくれていて、一生懸命体調やらなにやら整えられるよう頑張っていらしたのを知ってるもん。こころから、素敵な体験をしていたいて、山を好きになっていだきたいなって思いました。
のーんびり、急がない山というのも、なかなかステキでしょ?(笑)
by コッコ (2015-08-12 15:03) 

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