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北ア(黒部五郎・鷲羽・双六)縦走レポ・その2 [登山]

ランブログなのに登山レポ、その2。
「続きが楽しみ」っておっしゃってくださったかた、本当にありがとうございます。

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★今回のルート★
折立(1,350m)-太郎平小屋(2,373m)
北ノ俣岳(2,611m)-黒部五郎岳(2,608m)-黒部五郎小舎(2,350m)
鷲羽岳(2,924m)-三俣蓮華岳(2,841m)-双六岳(2,860m)-双六小屋(2,550m)
鏡平(2,300m)-新穂高温泉(1,117m)
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★8/31★

4:00起床、4:30朝食。
出発は5:00。今日は、稜線上とはいえピークを3つ越えますので、それなりに気合を入れて出発です。
例によって、朝方はガス。

ガスの中出発.jpg

まずは、三俣蓮華岳(2,841m)を目指します。百名山ではありませんが、高山植物が多く、富山県(富山市)・岐阜県(高山市)・長野県(大町市)の三県の県境をなす山なので人気があります。
この三俣蓮華岳と鷲羽岳との鞍部には、三俣山荘という山小屋があって、ここは展望テラスが有名です。槍や穂高の絶景を見ながら、黒部源流の天然水をサイフォン式で淹れてくれるコーヒー、(山値段なので高いけれど)美味しいと有名なパスタやオムライス。山小屋の昼食メニューは、たいていカレーライス・うどん・ラーメンなので、洋食は珍しいです。

わたしたちは、(どうせ帰りに踏むので)行きは三俣蓮華岳は山頂を巻いて、三俣山荘にザックをデポし、アタックザックだけで鷲羽岳を目指しました。

鷲羽の雄姿.jpg

薬師岳ほど「でかっ!」という印象はないけれど、この堂々とした山容。さすが百名山!(……と書きつつも、「なんでこの山が百名山?」「どうしてこれが選外?」というものは多々あって、深田久弥さんとわたしの感性の違いを感じることも。代表格は燕岳。なんであれを外すかな~。でも鷲羽に関しては意見一致! これは文句なく百名山!)

鞍部から山にとりついて、最初の方はジグザグにガレ場を切って高度をあげていきますが、山頂が近くなるにつれて岩場が増え、手も使ってよじ登っていく感じになります。鷲羽岳には初めて登りましたが、岩が脆くて浮き石も多く、ちょっと嫌な岩場でした。たいていは転げ落ちても怪我で済むような場所ですが、ところどころ、滑落したらヤバイな…って場所もありましたし。
でも、久々の高度感! これがだんだん快感になってくるなんて、登山って恐ろしい…。平常な人間の危機管理本能を狂わせます。

鷲羽山頂より.jpg

山頂は、ガスときどき晴れという感じ。
本来は360℃ビューの絶景ポイントですが、遠くの山や、長野方面の山は雲に隠れて見えませんでした。槍・穂高の景色を楽しみにしていたので残念…。
でも、雲ノ平や黒部源流はしっかり見ることができました。

山頂で30分くらいゆっくりして、岩場をくだり、飽きるほどガレ場をジグザグして、三俣山荘に戻って昼食です。
友人は、あんなにパスタを楽しみにしていたのに、「汁モノじゃないと入らないや~。塩気がほしい!」とラーメン。わたしはお腹がすいて、ご飯をがっつりいきたかったのでオムライス。食後にサイフォンで淹れてくれるコーヒーもお願いしました。どれもとても美味しかったです。

展望テラス.jpg

ザックを背負い直し、三俣蓮華岳に戻ります。ここからは3ルート選択肢があります。山頂を踏んで行く稜線ルート、双六山頂は巻き道を行く中道ルート、全部ぶっとばして最短距離で双六小屋へ至る巻き道ルート。
友人に疲れが見えているようだったので、「どうする?」ときくと、「せっかく来ているから稜線を行く」との答えだったのでそうしたのですが、今思うと判断を誤りました。「天気も怪しいし、最短距離で行こうよ。山は逃げないよ、また来ればいいよ。」と言うべきでした。

でも、稜線ルートへ突入してしまったわたしたち。気候の関係だと思うのですが、北アルプスの稜線は、概して長野側がすっぱり切れていて、岐阜側が比較的なだらかなことが多いのですが、ここからはずっと長野側。脚を踏み外したら200mくらいは落っこちるなというような、緊張を強いられる場所も多く、友人の脚があまり上がっていなくてときどき小石につまづいているのが心配でした。途中の休憩で荷物を少々奪い取り、自分のザックに入れました。

そういう点でも、今回はテントでなくて正解でした。スリーシーズン(冬以外)の小屋泊の場合、荷物の重量は一眼レフカメラや調理器具を入れても8~9kgほど。テントだとこうはいきません。最低でも14kg。少し快適に過ごそうと思ったら18kgくらいになります。
わたしの体力だと、15kgを超えるとストック(杖)がないときついです。今回は小屋なのと、写真を撮るときにいちいち邪魔なのでストックを持ってきませんでした。

三俣蓮華を超え……双六岳への稜線へ。その間には、大きな雪渓があります。
斜度はたいしてないので、滑り落ちる心配は少ないためアイゼンは要りませんが、晩夏なので踏みぬいて雪渓の下に落ちないよう、慎重に紅がら(安全なルートを示す印)をなぞります。

雪渓.jpg

ガスでなんだかおどろおどろしい雰囲気ですが、雪渓の周辺には、初夏の花たちがまだ咲き残っていて、目を楽しませてくれました。

雪渓とチングルマ.jpg

雪渓とセリ科の花.jpg

双六岳への最後の登りは、友人を空身(ザックなし)で登らせ、わたしは一登目を自分のザックを担いで登り、下り返して二登目を友人のザックを担いでボッカ。コースタイムに余裕をもっておいて、本当によかったです。

双六山頂真っ白.jpg

双六岳の山頂は風が強く、ガスで視界もきかない状態だったので、少しさがったところの岩場の影で休憩。気温は10℃を切っていて、強風で体感温度は5℃とかそんな感じになっていました。自炊用にカセットコンロの一式をザックに入れてきていたので、お湯をわかして友人にホットポカリと魔法の粉(BCCA)を飲んでもらい、自分は餡ドーナツを補給しました。

友人も温かい飲み物でだいぶ楽になったというので、小屋に向けて出発しました。
ここからしばらくはなだらかな台地を行くので、身体には優しいのですが、ガスが出ているときは、道迷いに要注意です。

ハイマツ帯には雷鳥さん。そりゃ~こんな天気ですから、会えますわな。
(雷鳥は空からの天敵を警戒して、晴天だとあまり出てこないのです。こうした悪天だと遭遇しやすく、雷の鳴るような空模様で活発に活動することが「雷鳥」の名前の由来という説も。)

雷鳥.jpg

ガスと強風の中、「何の罰ゲームだぁ~」と思いながら進んで、最後の難所。双六小屋への急な岩場を下ります。
今回は久々の山行ということで、体力が落ちてしまっているものの、もともとの登山技術は高い友人、このくらいの岩場のほうが安心して見ていられました。岩はしっかりしていて崩れそうな心配はないし、適度な緊張感からか、足取りも少し前よりしっかりしてきたような。

双六くだり.jpg

何とか4時前には小屋に到着。
何だか熱っぽいという友人を先に寝かせ、自分だけビールと夕食を楽しみました。

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★9/1★

4:30起床、5:00朝食。
本日は下山日です。昨晩、夕食も食べずに寝てしまった友人ですが、今朝の体調を聞いてみると、「夜中にいっぱい汗かいた~。だいぶ良くなったよ。」とのこと。
朝食も8割方食べていたので、「無理せず行こうね」と、6:00出発。
出発前に、双六小屋名物のコーヒーをいただきました。ちゃんと陶器のカップで饗してくれるコーヒー、双六小屋には名人がいるらしく、とっても香り高くて美味しいのです。雰囲気は三俣山荘のほうが良いですが、単純にコーヒーの味だけの勝負なら、双六小屋の方が上だと思う…。

キャンプ指定地を横目に見ながら、弓折岳・笠ヶ岳への道を進みます。
本来なら、左手に槍・穂高の雄大な景色が広がるのですが……景色は50点くらいかな。でも、今回の山行ではじめて槍を拝めたのでラッキーでした。それに、毎夜雨でしたが、歩いている最中には一度も降られませんでした。昨日激しく降られていたらと思うとぞっとします。緊急時用に、ビバーク用のツェルト(簡易テント)はザックに常備していますが、使わずにすんで本当によかったです。

今回唯一拝めた槍ヶ岳
槍ヶ岳.jpg

穂高の稜線の先には雲海
穂高と雲海.jpg

弓折分岐で休憩し、笠ヶ岳への道とわかれて、鏡平へくだっていきます。
鏡平山荘は、小屋の裏手の澄んだ池(鏡池)に、槍ヶ岳が逆さに写り込むので有名なビュースポットなのですが、あいにくの曇天でそれもならず。

鏡平.jpg

最初に計画をたてたときは、「3日目に余裕があったら、双六小屋じゃなくて鏡平まで下りて、夜、鏡池に写り込む逆さ槍と星空の写真を撮るのもいいね」なんていいう話もしていたのですが、昨日の状態では、わたしたちの余裕度的にも天候的にも無理でした。今回は、夜の天候に恵まれなかったので、夜景はもちろん、朝焼け・夕焼けの写真も撮れませんでした。残念です。

このあたりから樹林帯に突入です。(とはいえ木々は低い)
特に珍しい景色もないので、ぐんぐん下るだけです。小池新道は、白い岩が多く日差しを遮るものが少ないので、真夏の登りは照り返しと相まって本当にきついのですが、今回は下りですし、曇天なのでガンガンいきます。
友人も復活していて、標準コースタイム×0.7くらいでぶっとばしました。わたし、くだりは苦手なのですが、練習だと思ってガシガシいきました。

無事に林道に出て、水の豊富なわさび平小屋で冷やしたきゅうりを買ってポリポリ。そのままほぼ平坦(若干くだり気味)な林道を、おしゃべりしながらテクテク1時間。新穂高温泉ロープウェイに到着です。


ここで、今回の山行は無事に終了。
ロープウェイ駅のお土産物売り場でお土産を買い、ザックを自宅あてに宅配便して、身軽になってバスが来るまで足湯に浸かりました。
わたしはビール、友人はソフトクリーム片手に、足湯。とても贅沢なひとときでした。

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山行レポはこれでおしまいなのですが、花の写真をあまり載せられていないのと、山の後は温泉旅館で一泊というのがわたしたちの定番スタイルなので、備忘録としてあと1回ぶん、レポートしようと思います。


今回、写真がイマイチだったので、過去の登山で撮影したもので、「山、いいね★」と思っていただけそうなものを何枚か貼っておきます。
登山も好きなランナーさん、登山経験はないけれど山へ行ってみたくなったかた、ぜひお声掛けください。
チャンスがあったらご一緒しましょう~。


北岳(3,192m/南アルプス)から日の出と富士
番外北岳の朝.jpg

コッコ北岳を登る
番外コッコ北岳をくだる.jpg

燃える空…仙丈ケ岳(3,032m/南アルプス)より
番外空燃える.jpg

穂高岳(3,190m/北アルプス)からジャンダルム
番外ジャンダルム.jpg

大日岳(2,498m/北アルプス)より夕暮れの剱岳(2,999m)
番外剣岳.jpg

北鎮岳(2,244m/大雪山)よりトムラウシ(2,141m)
番外雲の滝.jpg

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コメント 10

aki

レポ堪能させていただきました〜
本当に美しいですね。
文章も写真もこっこさんの表現力がとてもすきです。

こっこさん、やっぱり登山もビタミンカラーですね( ´ ▽ ` )ノ
by aki (2014-09-13 11:29) 

mizore

コッコさん
すごい、すごいー!

akiさんの重複になりますが、ほんと写真も文章もすごくて引き込まれます。行った人だから、経験してきて知識もある人だから。

こんなにすごい山じゃなくてもよいので、ぜひ山へご一緒させてください!
by mizore (2014-09-13 20:22) 

コッコ

>akiさん
ありがとうございます。そうなんです、登山でもビタミンカラー★オレンジが大好きなわたしです。
山の写真は、見よう見まねではじめたのですが、お褒め頂恐縮です。自分では可憐な高山植物の写真が撮りたかったのですが、人様に評判がいいのは、険峻な岩場の夕焼けや壮大な朝焼けなど、男性的な写真のほうです…。感性がそっちなのかな。
by コッコ (2014-09-13 22:36) 

コッコ

>mizoreさん
こんなに長いレポ、読んでくださってありがとうございますー。登山歴は無駄に長くて、あちこち楽しんで登っています。降られて景色も見られず修行みたいだった山行も、最高の天気に恵まれ天国を見てきた山行も、どれも思い出深いです。
燕岳や立山のように、さほど危なくないけれど、絶景が期待できる山はたくさんあるので、ぜひご一緒させてください。
ほとんど頂上までロープウェイ使用の乗鞍とか木曽駒とかは登山のカテゴリーなのかどうか微妙ですが、お手軽な山です。
by コッコ (2014-09-13 22:43) 

とんとん子

山の姿がとてもいいですね、どの写真も素晴らしいです、何度も見てしまいます、レポも読みやすくてテンポよくて、引き込まれました。
by とんとん子 (2014-09-14 08:22) 

コッコ

>とんとん子さん
ありがとうございます。山頂からの360度ビューをお見せできずに残念です~。でも、山は逃げないので、またチャンスがあると信じて。登りたい山がいっぱいです。
by コッコ (2014-09-14 15:41) 

Mayokoha

写真を見てレポを読むと、自分まで登った気になりました。さらっと書かれているけれど、実際はかなり大変な場面もあったのでしょうね。まさに山行ですね。
「高度感が快感に変わる」とありましたが、きっとそれが登山の魅力なんでしょうね。
山で飲む本格コーヒー、美味しそう~

by Mayokoha (2014-09-14 15:53) 

れつ

レポートすごいですね。どの写真も美しくて、圧倒されてしまいました。山って色んな表情があるんですね。ガスとか、普段見ないのでビックリです。そして、またそのガスがとてもきれいですね。。
坂道/山道嫌いの自分が山に行きたくなってしまいました^^
by れつ (2014-09-14 17:45) 

コッコ

>Mayokohaさん
ありがとうございます。「自分も登ったかのように…」だなんて、最高の褒め言葉です。(*^0^*)
山での苦労は、ランのときと同じで、そのときはしんどいのですが、終わってみると中毒になっているというか、「きつかったけど楽しかった~」に変換されちゃいます。
山で飲むコーヒー、お味噌汁、ビール、そしてなぜかインスタントラーメンは最高です★
by コッコ (2014-09-15 00:24) 

コッコ

>れつさん
れつさんが坂道嫌いとは意外です。追い込むのは好きな方だから、「坂道ひゃっほーい★」なタイプかと勝手に想像しておりました。
山のガスは……景色を隠してしまうし、ひどいときは道迷いの原因になるので、できればないほうがいいですが、適度にかかっているとそれはそれで幻想的ですネ。
山、楽しいですよーーーー!
by コッコ (2014-09-15 00:26) 

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